日本血液浄化技術学会

学術委員会が選ぶ必読論文009


1)透析量の同時モニタリングを備えた新しい単針単一ポンプ透析システムの有効性。

Effectiveness of a New Single‐Needle Single‐Pump Dialysis System with Simultaneous Monitoring of Dialysis Dose

推薦コメント:透析患者の高齢化や併存疾患による血管の荒廃により、 バスキュラーアクセス確保に難渋し、シングルニードルによる透析をせざるを得なかった経験があると思います。 しかしシングルニードルは手技の複雑さ、透析効率の低下などの問題が生じます。 この論文は、新しい技術によりシングルニードル透析の効率を最大化し、より高い血流と累積血液量を目標にすることができ、透析の適切性を確保できる可能性がある興味深い論文となっています。


2)単針血液透析:過去と未来

Single needle hemodialysis: is the past the future?

推薦コメント:シングルニードルによる透析は、再循環による透析効率の低下が問題として挙げられますが、穿刺数の減少による痛みやストレス、合併症の軽減、中心静脈カテーテルの使用の回避および減少による生活の質の改善などの利点があります。 この論文は、シングルニードル透析を行うことによる利点を考え、透析効率をそこまで上げなくてもよい高齢者や、頻回に行う事で透析効率を稼ぐ在宅血液透析などに適しているなど、シングルニードルの利点に焦点を当てた興味深い論文となっています。


3)EPIBACDIAL:慢性血液透析患者における菌血症の危険因子の多施設前向き研究。

EPIBACDIAL: a multicenter prospective study of risk factors for bacteremia in chronic hemodialysis patients

推薦コメント:慢性血液透析患者における菌血症のリスクファクターに関する多施設前向きの研究です。 さまざまなリスクファクターより検討されていますが、バスキュラーアクセス関連の相対危険度に着目すると865人の慢性維持血液透析患者からの分析によって特定された菌血症のリスクファクターのうち、バスキュラーアクセスでの相対危険度はAVF1に対してAVG:1.29、カテーテル:7.64という結果が示されています。 特にカテーテルにおいては慢性血液透析患者における菌血症の主要な危険因子の一つであるとされています。 日本ではカテーテルの使用頻度が年々高くなってきているので大変興味深い論文となっています。


4)血液透析患者における感染性心内膜炎:恐ろしい合併症。

Infective endocarditis in a hemodialysis patient: A dreaded complication

推薦コメント:血液透析患者における危険な合併症のひとつである感染性心内膜炎の論文です。 感染は心血管疾患後の血液透析患者における代表的な死亡原因です。 比較的まれであるが致死的な合併症のひとつである感染性心内膜炎にも繋がる可能性もあり、その原因のひとつに一時的なカテーテル法による血液透析が挙げられています。 この論文では感染性心内膜炎を早期発見するには「感染してるかも」と疑いの目を持って管理すること。 感染が認められたら抜去すること。等、カテーテル管理の基本が書かれており、とても参考になる論文だと思います。


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